身近に感じる一言
われ男の子(おのこ) 意気の子 名の子 つるぎの子 詩の子 恋の子 あゝもだえの子 ![]()
明治大正時代の歌人である与謝野鉄幹(本名 与謝野 寛(ひろし))の『紫』の一首である。。明治32年「東京新詩社」をつくり、翌年、文芸雑誌「明星」を発刊して、ロマン主義文学運動の中心となり、明治34年 鳳 志よう(後の与謝野晶子)と結婚。彼女の歌集『みだれ髪』のプロデューサーでもある。
この歌を真にあじわうならば、鉄幹の当時の生活状況を知らなくてはならない。詳細は省くが、前妻との離縁問題。与謝野晶子と数人の同時恋愛。「文壇照魔鏡」による誹謗愁傷。新詩社の財政難。友人との不仲、彼の周辺は、容易ならざる風が漂っていて、そんな状況下で生まれた歌であった。勇ましい詩つくりで虎の鉄幹と呼ばれた彼であったが、心にうずまく複雑な心境が吐露されている。
意気の子 名の子 つるぎの子=気丈夫=大人の男子。ああされど、もだえの子なのだ。気弱の中に、甘えとナルシズムが見え隠れする歌である。そう感じるのは、僕がもだえの子、そのものだからだ。鉄幹も「多情仏心」の男の子である。「多情仏心」とは、情が多く移り気だが、無慈悲にはなれないことを言う。だからもだえの子なのである。「無情魔心」になれたらスッキリするのにと思うときが多々ある。しかし、もだえの子から脱し得ない。遺伝子が、心の居場所を確保してるせいだ。
淫靡なる アラーキーのフォトに疼く 我はいまだに 惑いの五十路(いそじ)
隠れ那須 むさぼり交わる 恥骨の音を 狂い奏(かな)でよ 九尾の狐
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